設立趣旨

平成19年8月11日
 食糧自給率の大幅な低下、農村人口、後継者の減少など畜産を含む農業は大きく変貌してきたが、他方では、健康な生活の基礎となる食料の安定供給、国土や環境の保全、文化の伝承、多面的機能の発揮など、国民の安全と安心の礎として、農業・農村の役割に大きな価値を見出す動きも近年着実に増大している(食料・農業・農村基本法)。
 畜産においても、自給飼料に基盤をおいた畜産の発展、安全な畜産物の生産をはかることが求められ、それを現実化するための研究、技術指導のあり方が問われている。
このような流れに応えるためには、個々の研究や指導において、畜産全般はもちろん、環境、生活などにも亘る総合的な視点が必要であり、学会においても、個々の研究分野の深化とともに、新たな畜産学研究のあり方、技術指導の確立を目指す活動が求められている。また、畜産現場を念頭に置いた学術成果の発表、討論の場をもつことは、地方学会の特徴的な機能であり、この機能を一層発揮できるよう、組織と運営の改善をはかることが地域の畜産関連産業の発展と研究者、技術者、指導者の結集に不可欠である。
 大学・研究機関の法人化の進行で、研究者の置かれている立場は極めて厳しい状況になっており、学会運営に関わる事務の遂行にも困難な状況が生じている。また、現場指導者の人員の削減、再編の進行は学会活動への参加自体を困難にしている。このような状況に対して、学会運営の見直し、会員の確保に早急な対策を検討する必要が生じている。
以上のような社会的状況への対応と活発な学会活動の永続的な維持をはかるために、西日本畜産学会と日本草地学会九州支部とを統合した新たな学会の設立を提案する。  新学会は、西日本における土地利用に根ざした畜産、消費者に信頼される安全な畜産物を生産する畜産の構築を目指して、畜産に関わる多分野の研究者、技術者、指導者の相互支援、交流をはかる新たな学会活動の場として発展することを目指す。
(西日本畜産学会と日本草地学会九州支部との統合に関わる検討委員会答申 2−2. 「両学会統合の理念・意義」より)